こんにちは、いとけんです。
今回も早速「0→1ファン作り」の紹介をはじめていきます。
「0→1ファン作りとは?」
スタートアップ初期における、
①ユーザー獲得戦略・施策
②ユーザー定着戦略・施策
それぞれを、国内外の企業事例で紹介する連載記事です。
(参考:「0→1ファン作り」:スタートアップ初期における、ユーザー獲得戦略の特集を始めます。)
前回は、「Spotify編」を公開させていただきました。
(参考:「0→1ファン作り」:Spotify編)
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。
国内企業インタビュー、「Tastime編」です。
「Tastime」は、Instagramで人気の飲食店の情報を検索・閲覧できるグルメサービスです。
Instagramの許諾を受けて公式APIを使用しており、ネット上にある飲食店の情報(電話番号や住所、営業時間など)とInstagramにアップされたその飲食店の料理の写真、写真の投稿数などを閲覧できます。
17年3月にアプリをリリース。
現在ではユーザー数は約10万人、掲載店舗数は15,000を超えます。
私自身、ユーザーとして利用していますがとにかく写真が綺麗です。
飲食店を探すアプリですが、眺めているだけの人も多いという話には納得をしました。
今回はそんな「Tastimeがどう文化に馴染みファンを獲得していったのか」
COOの熊谷さんに突撃インタビューしてきました。
熊谷 祐
COO
「Tastime」を運営する株式会社TripBox COO
早稲田大学卒。在学中に起業し、その後、Kaizen Platformの案件を行うフリーランスのグロースハッカーとして活動。2016年4月に株式会社TripBoxを共同創業。趣味でマインドフルネスに精通し、一部上場企業で講師を務める。年中和服を着ている。
さっそくどうぞ!
言語がわからない状態で、
情報を手に入れる方法が画像・動画だった。
「Tastime」のサービスは、Instagramを通じて飲食店を探せるというものです。
サービスを作る原体験は、代表の根本さんがアメリカのNY海外留学に行った時の経験から来ています。
留学当初、英語が読めない話せない状態で、情報を得る手段が限定されていました。
そんな時飲食店や日々の情報を手に入れるための手段が、イメージを通して情報を受け取ることができる画像や動画だったそうです。
根本さんは「この状況は、日本に来ている外国人旅行客にも同じ状況が当てはまるのではないか」と考えました。
こうして、外国人観光客向けに①飲食店②宿泊施設③観光地
を画像で情報提供するTripboxを創業しました。
サービスのβ版をリリース後、仮説検証を経て、
今の飲食店だけを画像で提供するモデルへとピボットをしています。
その仮説検証期の話を詳しく掘り下げていきます。
テストマーケティングを経て、
サービスをピボット(方向転換)
(テストマーケティング時の「Tripbox」のサービス画面)
創業当初、画像を通じて①飲食店②宿泊施設③観光地
の情報を発信するサービス「Tripbox」をリリースしました。
運営側は、サービスの仮説検証を目的に、ユーザー獲得のための施策を考えました。
Tripboxのサービスが、
ブログなどのメディアと違って、画像や動画を通して情報を伝えるサービスだったため、検索を通じてユーザーの流入を目指すSEOが出来ませんでした。
まず、Facebookの有料広告を掲載してみましたが効果が出ませんでした。
次に、広告も検索がダメなら、
SNS広報でユーザー獲得をするしかないと考えました。
そして目をつけたのがInstagramでした。
Instagramでテストマーケティングをしようと決めてから、
日本各地の①観光地②ホテル③飲食店の写真に、ハッシュタグ #Tokyoなどを添えて投稿し続けました。
1ヶ月、2ヶ月と運用を続けていく中で
色んなことがわかってきました。
まず、ホテルと観光地の写真は極端にLikeの数が少ないことです。
外国人観光客に向けて情報発信していましたが、旅行前にホテルや行く観光地は旅行前に決めてくる旅行客が多く、ほとんどLikeは来なかったそうです。
その代わりにLikeが集まったのが飲食店の情報でした。
次に、ターゲットとしていた外国人よりも日本人に刺さったことです。
Instagramでフォローしてくれる人、Likeをしてくれる人を分析してみると
ターゲットとしていた外国人は3割ほどで、なんと7割が日本人だったそうです。
以上のテストマーケティングを経て、
Tripboxはサービス名をTastimeに変更して画像を通じて飲食店の情報を探すことが出来るサービスに路線変更をしました。
(飲食店の情報に特化した時のサービス画面)
そしてテストマーケティングから約1年後、
サービスリリースをした当日に、PRtimesへのプレスリリース効果もあって1000人以上のユーザーを一気に獲得したそうです。
これよりTastimeのこだわりである、
獲得したユーザーに使い続けてもらうための施策について見ていきます。
男性脳の視点、
女性脳の視点から生まれたUI
(「Tastime」の初期UI画面)
「Tastime」がこだわりを持つユーザー体験について見ていきます。
①写真の質について
②お店の質について
③男性脳と女性脳の視点から生まれたUI
①写真の質
私自身、Tastimeを使ってみて1番に感じたのが写真の綺麗さでした。
まさしく彼らもこだわりを持っているそうで、
サービスに載せるための写真は、運営側の社員が1つ1つ選んでいるそうです。
ルールとしては、2点あるということでした。
①明るいもの②写真の撮り方のお手本になるような写真(例えば商品が写っているものなど)
②お店の質
お店の数では、競合の大手企業に勝てないと考え、
お店の質にこだわっているそうです。
アルバイトとして現役女子大生やインフルエンサーの方を雇用しているそうで、彼らが行きたいと思うお店・実際に行ったお店を中心にお店を増やしているそうです。
更には彼女達に、写真選びもお手伝いをしてもらっているとのことでした。
熊谷さんの「写真のセンスってスキルとしては見えにくいけど、確実に存在するもの。採用でもそこを見ている」という言葉が印象的でした。
③男性脳と女性脳の視点から生まれたUI
Tastimeのリリース当初、サービスのUIは3つのカテゴリを中心に構成されていました。
・ランキング
・急上昇
・おすすめ
サービスが、画像を通じて飲食店の情報を探せることを目的にしていたので、
目的の飲食店を効率良く探すことが出来るデザインだったのです。
そのため、サービス内の回遊率の低さに悩んでいたそうです。
サービスの、ユーザーインタビューを続けて行くうちに見えてきたのは
男性脳と女性脳の話でした。
買い物をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
男性は買い物をする時、目的のものに一直線に向かい買い物を終えますよね。
一方で、
女性は買い物をする時、目的のものに辿り着くまでの時間やウィンドウショッピングも楽しみます。
ユーザーインタビューを通して、見えてきたのは飲食店を探している時間を楽しんでいるというユーザーの心理でした。
こうしたユーザーインタビューを経て、UIを回遊率が高いものに変更したそうです。
トップページに必ず見せたい固定の写真・ランダムに現れる写真をそれぞれ用意することで、回遊率が高くなるようにリデザインをしたそうです。
Tripboxでユーザー体験を構成する上で、「口コミが起こりやすいように戦略を組んでいる」ということでした。
今では、ユーザー比率95%以上が女性を占めるそうです。
こうして、Tastimeはユーザー体験を作っていきました、
最後に
ポイント:
①社員以外のユーザーの声を聞くこと
Tastimeの例だと、創業メンバーの中には男性しかいませんでした。
ユーザーインタビューを続けていく中で、特に女性のユーザーから飲食店を探す時間も楽しみたいというインサイトを見抜き、
UIに反映。そうすることでユーザーが定着していきました。
サービスコンセプトを深く知っている創業メンバーだけでなく、ユーザーインタビューを続けていったことで生まれたUIだと思いました。
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いとけん
Launcheers共同代表。小学生の時に、父が脱サラして起業したこと・ シリコンバレーでの起業家精神に魅了されたことがきっかけで「起業家」に興味を持つ。 普段は名刺アプリ「Eight」のビジネスディベロップメントを担当